プログラミング 人工知能

AI(人工知能)の歴史

投稿日:2020年3月16日 更新日:

AI研究の歴史を紐解くと、大きな成果が上がって多大な期待が寄せられる時期と、期待ほど実用化できず研究が下火になる時期が交互に来ていることが分かります。

実際、何度もブームが来ており、今回が三回目のAIブームに当たります。

この記事では、どういう理由でブームが起き、またどういう理由で下火になったのかなど、AIがどのような歴史を辿ってきたのかを見ていきます。

AI誕生以前 〜1956

1930年代末から1950年代にかけて、初期のAIの研究が行われました。

神経科学の成果により脳が神経細胞のネットワークであり、電気信号のパルスの受け渡しによって頭脳が作られていることが分かりました。

そこで、人工の神経細胞のネットワークのモデルが考案され、どうやって論理を扱えるかということについての研究が行われました。

これがニューラルネットワークに関する最初の研究だと言われています。

また、天才と名高いアラン・チューリングは1950年に、「チューリングテスト」と呼ばれる、機械に「知性」があるかどうか判定するためのテストを提案しました。

今回は詳細は省略しますが、この議論によってAIの哲学という新たな分野が生まれました。

ダートマス会議 1956

この分野に初めて人工知能(AI: Artificial Intelligence)という名称が付けられたのは1956年のダートマス会議と呼ばれる研究会でした。

そこでは、初めて作られたAIプログラムと言われている、”Logic Theorist”のデモンストレーションが行われました。

これは、数学の基本的な定理を証明することの出来るプログラムで、四則演算などの数値計算しか出来なかった当時としては画期的なことでした。

第一回AIブーム:推論・探索の時代 1956〜1974

ダートマス会議以後、AIの研究は一気に進みました。

計算機としか思われていなかったコンピュータに、推論などの高度な知的活動が可能だということは、当時の人々には大変な驚きでした。

AIによって幾何学の証明が行われたり、会話できるAIが生まれたりしたことで、当時の人々はAIに大きな期待を寄せ、どんどん研究資金が注ぎ込まれました。

AIの冬第一期 1974〜1980

莫大な研究資金が注ぎ込まれたAIの分野でしたが、研究が進むにつれて様々な問題が浮かび上がってきました。

まず、AIはボードゲームや迷路など、非常に限定された状況の中で探索を行うことについては強力でしたが、現実の問題はもっとずっと複雑でした。

私たちが普段直面するような問題、会社を発展させるためにどういう行動を取ればいいかや、何を開発したらいいかなどの問題については無力でした。

その結果、研究の支援が次々と打ち切られ、AIは冬の時代を迎えてしまいます。

第二回AIブーム:知識の時代 1980〜1995

AIの冬の時代においても、一部の研究者たちはAIを諦めていませんでした。

1980年代になると、「エキスパートシステム」と呼ばれる専門知識を蓄えて、それに関する質問に答えることのできるシステムです。

例えば、症状に関する質問に答えていくと、病気を特定できたりしました。

第一回AIブームのときには現実の問題に関してはあまり役に立たなかったAIでしたが、ここに来て特定の専門分野に関しては役に立つようになり、再び巨額の研究資金が投入されました。

AIの冬第二期 1995〜2012

しかし成功を収めたかに見えたエキスパートシステムも、過度の期待の後に失望されるという同じ道を歩むことになります。

エキスパートシステムは、医療や教育など、専門分野が限定された領域については有用でしたが、より広い範囲の知識を扱おうとすると、途端に上手くいかなくなりました。

例えば、私たちは「人間」には「頭」があり、「頭」には「目」が2つ、「鼻」と「口」が1つずつあるなど、常識レベルで知っていることも、AIにはいちいち教えないとそういったことは分かりません。

その膨大な常識レベルの知識をAIにどうやって教えるのかというのが大変な難問だったのです。

その結果、またも現実の問題の難しさの前にAIは敗れ去ります。

第三回AIブーム:機械学習の時代 2012〜

現在のブームの原動力となった「ディープラーニング」は、ニューラルネットワークと呼ばれる神経細胞をモデル化したものを多層化したものです。

2012年の画像認識のコンテストで、初参加のトロント大学が驚異的なスコアを叩き出したことで、ディープラーニングの威力が広く知られることとなりました。

ディープラーニングの凄さは、あることを判別するときに、どの部分を見たらいいかということを表す、特徴量と呼ばれる量を自動で獲得することができることでした。

それまでのAIでは、特徴量は人間が与えてあげないといけませんでした。これに関しては、別の記事で詳しく説明します。


2012年のディープラーニングの衝撃以降、三度目のAIブームが始まり、研究資金がまたまた投入されるようになりました。

その結果、私立大学の入試は突破できるような実力を身に着けたAIが出来たり、会話において人間と区別がつかないようなAIが現れたり、囲碁のプロ棋士をAIが破ったりするなど、まだまだ発展を続けています。

AIを本格的に取り入れる企業もどんどん現れており、もはやAIを取り入れないと取り残されると言わんばかりの勢いです。

今後の展望

ディープラーニングによって特徴量が自動で獲得できるようになった結果、直ちに現実の問題が解決できるかというと、まだ道のりは長いというのが正直なところです。

しかし、今までに出来なかった問題がものすごい勢いで解決されていっている途中であるというのも事実です。

歴史を辿ると、AI研究は過度に期待され、失望されるという道のりを繰り返しています。

今回のAIブームがいつまで続くのかは分かりませんが、ディープラーニングは革命的な技術であることには間違いありません。

期待しすぎずに、しかし上手くAIを取り入れて現実の問題に取り組んで行きたいですね。

-プログラミング, 人工知能

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