数学

半正多面体はいくつあるか?その2

投稿日:2020年8月25日 更新日:

前回、半正多面体の条件について考えた。

無限に存在する角柱と反角柱を半正多面体の対象から除くため、次のような条件にするのが良いのではないかというところまで書いた。

半正多面体の条件(改)

  1. すべての面が正多角形
  2. 1つの頂点に集まる面の数と種類が同じ
  3. ただし角柱と反角柱は除く

しかし、まだ問題があるのである。

その原因が次の多面体だ。

分かりやすくするために正三角形と正方形に違う色をつけた。

これは、斜方立方八面体という半正多面体の1つで、それぞれの頂点には正三角形が1枚と正方形が3枚ずつ集まっている。

これ自体は綺麗な多面体なのだが、この斜方立方八面体の上半分を45度回転させると別の多面体が出来る。

驚くべきことに、この多面体もそれぞれの頂点に正三角形が1枚、正方形が3枚ずつ集まっているのである!

この多面体は、天文学者のケプラーによってすでに発見されていたが、20世紀に多面体の研究をしていたミラーによって再発見されたため、一般的にはミラーの立体と呼ばれている。

斜方立方八面体とミラーの立体は、パット見では違いが分かりにくいが、正面や真上から見ると違いがよく分かる。

斜方立方八面体

ミラーの立体


というわけで、半正多面体の話に戻ると、今回の冒頭で定義した半正多面体の条件(改)のままだと、このミラーの立体も半正多面体に入ってしまう。

そして、ミラーの立体は、上半分だけを45度回転させた関係上、他の半正多面体に比べると対称性が低くなってしまっている。

ようするに仲間はずれなのである。

そこで、一般的にはミラーの立体も半正多面体からは抜いてしまうことになっている。

さて、これでやっと半正多面体の定義が定まった。

半正多面体の条件(FINAL)

  1. すべての面が正多角形
  2. 1つの頂点に集まる面の数と種類が同じ
  3. ただし角柱と反角柱とミラーの立体は除く

この条件を満たす半正多面体は13個ある。

これらについては次回以降紹介していく。

今回はここまで!

-数学
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

菱形十二面体 その4

菱形十二面体菱形十二面体 その2菱形十二面体 その3 今回も菱形十二面体の話をしよう。 前回は、菱形十二面体の内部に立方体が隠れており、その残りの部分のピラミッドを6個集めると同じ大きさの立方体が組み …

菱形多面体たち

私は今までの多面体の記事を書くにあたってMathematicaというソフトを利用しているのだが、Mathematicaの機能にはかなり便利なものもあって、その一つを使ってみたので紹介する。 実は、有名 …

菱形十二面体

今回から、多面体に関する記事を書いていく。 最初ということで、まずは僕の一番好きな多面体から紹介したい。 菱形十二面体である。 その名の通り、菱形が12枚集まることで構成されている。 頂点の座標表示の …

菱形十二面体 その10

これまでの記事 今回は、菱形十二面体の対称性に注目してみよう。 この菱形十二面体を、対称性の高い方向から見てみるとどうなるだろうか。 まず、菱形十二面体には、菱形の鋭角が4枚集まっている頂点と、菱形の …

no image

四次元を「見る」方法 〜射影について〜 その2

前回、投影と呼ばれる、3次元の物体を2次元に描き表すための方法を紹介した。 この投影とはいったいどういう操作なのか、数学を用いて解説してみようと思う。 まず、キャビネット図を例にとって考えてみよう。 …