数学

準正多面体?半正多面体?どちらが正しい?

投稿日:2020年9月1日 更新日:

正多面体の1種類の正多角形で出来ているという制限を緩くすることで、アルキメデスの立体と呼ばれる13種類の多面体が得られる。

これらは、「半正多面体」と呼ばれることもあるのだが、一昔前の本や文献を見ると、「準正多面体」と書かれていることが多い。

どちらが正しいのか、この記事で明らかにしておく。


アルキメデスの立体にあたる13種類の多面体は、英語ではsemi-regular polyhedronと書く。

“semi-“の接頭辞は「半-」と翻訳するのが一般的なので、結論としては「半正多面体」が正しいことになる。

しかし、なぜか一時期は「準正多面体」の方が広まってしまったのである。

これに関して、自分が誤訳の原因になったのではないか?とおっしゃっている宮崎興二さんのコラムがあるので紹介しておきたい。

https://web.archive.org/web/20180709064612/https://www.zome.jp/column/clm7/clm7.html
(2020年9月1日現在、Webサイトの証明書の有効期限が切れてしまっており普通には読めなくなっているのでInternet Archiveのリンクを貼っておく)


私としては、昔から読んできた本では皆「準正多面体」が使われていたので、「半正多面体」の表記を見ると未だに少し違和感を覚える。

しかし、半正多面体が正しい訳だということなので、今後は半正多面体の表記を使うのが正しい態度だろう。

というわけで、このブログでも「半正多面体」を採用することにする。


ちなみに、準正多面体に対応する英語はquasi-regular polyhedronになる。

こちらはこちらで定義されていて、半正多面体には頂点の見分けがつかないという条件だったのに対し、準正多面体では頂点だけでなく辺の見分けもつかないという条件が追加されている。

その条件を満たす多面体は2つあり、立方八面体と二十・十二面体だけである。

今回は、13種類のアルキメデスの立体に相当するのは「半正多面体」であり、「準正多面体」は2種類だけということについて述べた。

今回はここまで!

-数学
-, ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

菱形十二面体 その5

菱形十二面体菱形十二面体 その2菱形十二面体 その3菱形十二面体 その4 今回も菱形十二面体の話をしよう。 その3で、菱形十二面体は立方体とピラミッド6個にカットできることを書いた。 このピラミッド6 …

no image

四次元を「見る」方法 〜射影について〜 その2

前回、投影と呼ばれる、3次元の物体を2次元に描き表すための方法を紹介した。 この投影とはいったいどういう操作なのか、数学を用いて解説してみようと思う。 まず、キャビネット図を例にとって考えてみよう。 …

菱形十二面体 その8

これまでの記事↓菱形十二面体菱形十二面体 その2菱形十二面体 その3菱形十二面体 その4菱形十二面体 その5菱形十二面体 その6菱形十二面体 その7 今回は、菱形十二面体の空間充填について話をしよう。 …

菱形十二面体 その10

これまでの記事 今回は、菱形十二面体の対称性に注目してみよう。 この菱形十二面体を、対称性の高い方向から見てみるとどうなるだろうか。 まず、菱形十二面体には、菱形の鋭角が4枚集まっている頂点と、菱形の …

正多面体が5つしかない理由

今回は正多面体の話をしよう。 正多面体とは、 すべての面が正多角形で、1つの頂点に集まる面の数が同じ凸多面体 のことである。 正多面体は、正四面体、正六面体(立方体)、正八面体、正十二面体、正二十面体 …