数学

菱形十二面体 その2

投稿日:2020年8月1日 更新日:

前回に引き続き、菱形十二面体の話をしよう。

前回、頂点座標が(±1, ±1, ±1), (±2, 0, 0), (0, ±2, 0), (0, 0, ±2)で表されることを述べた。

ご覧のように、菱形十二面体には、菱形の鋭角が4つ集まっている頂点と、菱形の鈍角が3つ集まっている頂点の2種類がある。

このうち、菱形が3つ集まっている頂点だけを結ぶと、なんと内部に立方体が現れる。

頂点座標で言うと、(±1, ±1, ±1)の8点である。

今度は、菱形が4つ集まっている頂点だけを結ぶと、内部に正八面体が現れる。

こちらは頂点座標で言うと、(±2, 0, 0), (0, ±2, 0), (0, 0, ±2)の計6点である。

この菱形十二面体の内部に現れた立方体と正八面体は、お互いに貫きあっていて、辺同士がそれぞれの中点で交わっている。

この立方体と正八面体が貫きあっている図は、複合多面体と呼ばれるものの一種である。

このように綺麗な図が描けるのは、立方体と正八面体が双対の関係にあるからである。

双対については多くの例を挙げていずれ詳しく書くつもりだが、一言で言うと面の中心を頂点に対応させ、逆に頂点を面に対応させる変換のことである。

このように、正八面体の各面の中心を結ぶと立方体になり、立方体の各面の中心を結ぶと正八面体になる。

最後に、立方体、正八面体、菱形十二面体を同時に書き込んだ図を載せて終わりにしよう。

-数学
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

半正多面体はいくつあるか?その2

前回、半正多面体の条件について考えた。 無限に存在する角柱と反角柱を半正多面体の対象から除くため、次のような条件にするのが良いのではないかというところまで書いた。 半正多面体の条件(改) すべての面が …

正多面体が5つしかない理由

今回は正多面体の話をしよう。 正多面体とは、 すべての面が正多角形で、1つの頂点に集まる面の数が同じ凸多面体 のことである。 正多面体は、正四面体、正六面体(立方体)、正八面体、正十二面体、正二十面体 …

no image

菱形十二面体 その15

これまでの記事 前回、アユイ構成という、立方体を使って多面体を近似するやり方を紹介した。

菱形十二面体 その10

これまでの記事 今回は、菱形十二面体の対称性に注目してみよう。 この菱形十二面体を、対称性の高い方向から見てみるとどうなるだろうか。 まず、菱形十二面体には、菱形の鋭角が4枚集まっている頂点と、菱形の …

菱形十二面体 その14

これまでの記事 アユイ構成(Häuy Construction)という多面体の構成法がある。 この考案者のルネ=ジュスト・アユイは、18世紀のフランスの鉱物学者で、「鉱物学の父」と呼ばれている。 アユ …