数学

菱形十二面体 その14

投稿日:2020年8月20日 更新日:

これまでの記事


アユイ構成(Häuy Construction)という多面体の構成法がある。

この考案者のルネ=ジュスト・アユイは、18世紀のフランスの鉱物学者で、「鉱物学の父」と呼ばれている。

アユイは「結晶は小さなユニットの集まりで出来ている」という理論を提唱した。

その一例がアユイ構成である。以下でそれを紹介しよう。


アユイ構成では、多面体を立方体の集まりによって表現する。

一番簡単な例として、立方体を積み上げてピラミッドを作ることを考えよう。

9個の立方体を正方形状に並べて、その中心に1個立方体を積み上げると、次のように小さいピラミッドができる。

底面となる正方形をもっと大きくして、そこから階段状に積み上げていけば、次のようにしてより大きいピラミッドを作っていくことができる。

使う立方体の数をより多くしていけば、形はどんどん四角錐に近づいていく。

これは10段のときのピラミッドである。


さて、使った立方体の数を計算してみよう。

ピラミッドの段数をnとすると、使った立方体の数は

1^2+3^2+5^2+...+n^2

となるので、Σを使って表して計算すると、

\sum_{k=1}^{n} (2n-1)^2 \\ = 4 \sum_{k=1}^{n} k^2 - 4 \sum_{k=1}^{n} k + \sum_{k=1}^{n} 1 \\ = 4\frac{n(n+1)(2n+1)}{6} + 4\frac{n(n+1)}{2} + n \\ = \frac{n(4 n^2 - 1)}{3}

となる。

n=1, 2, 3,…を代入してみると、

1, 10, 35, 84, 165, 286, 455, 680, 969, 1330, ...

となる。したがって、先ほどの10段のピラミッドでは1330個の立方体が使われていたことが分かった。

菱形十二面体の話まで進まなかったが、今回はここまで!

-数学
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

半正多面体はいくつあるか?

今回は、正多面体の制限を少し緩くした、半正多面体についての話をするのだが、その前に正多面体のおさらいをしよう。 正多面体の条件 すべての面が同じ正多角形1つの頂点に集まる面の数が同じ という2つの条件 …

no image

三次方程式・四次方程式の解の公式を書き下してみる

皆さんは、わけのわからない数式を見たときにワクワクしたりしませんか。僕はします。 ただ、僕の基準としては全く意味のない数式だとダメで、長くて重要な数式じゃないといけないんですね。 せっかくブログで数式 …

正多面体が5つしかない理由・オイラーの多面体定理を用いた証明

前回、1つの頂点に集まる面の種類と数を考えることで、正多面体が5種類しかないということを証明した。 今回は、別の方法で同じことを証明しようと思う。 そのために、次の定理を用いる。 オイラーの多面体定理 …

菱形十二面体 その11

これまでの記事 今回は、立方体から菱形十二面体を切り出す方法を紹介しよう。 そのためには、立方体の各面からダイヤ型に切り出すことが必要になる。 以下でその様子を見ていく。 まず、立方体の面のうちの1つ …

菱形十二面体

今回から、多面体に関する記事を書いていく。 最初ということで、まずは僕の一番好きな多面体から紹介したい。 菱形十二面体である。 その名の通り、菱形が12枚集まることで構成されている。 頂点の座標表示の …