前回、投影と呼ばれる、3次元の物体を2次元に描き表すための方法を紹介した。
この投影とはいったいどういう操作なのか、数学を用いて解説してみようと思う。
まず、キャビネット図を例にとって考えてみよう。
3次元空間内の点が2次元平面上のどこに対応するのかが分かれば、投影できることになる。
そこで、3次元の座標(x,y,z)を2次元の座標(a,b)で表すとき、どのようなルールで対応しているのかが分かれば良い。
ここでは、横をx方向、奥行きをy方向、縦をz方向とする。
まず、基準となる点が必要なので、原点は原点に移されるとして良いだろう。
つまりこういうことである。
- (0, 0, 0) \rightarrow (0, 0)
キャビネット図では、横方向と縦方向はそのままの縮尺で表す。
したがって、原点から横に1だけ進んだ点(1,0,0)は2次元平面上でもそのまま(1,0)で表される。
また、縦に1だけ進んだ点(0,0,1)もそのまま(0,1)で表される。
- (1, 0, 0) \rightarrow (1, 0)
- (0, 0, 1) \rightarrow (0, 1)
奥行きに関してはどうだろうか。
奥行きは、斜め45度に半分の長さで描くのだった。
その結果、奥に1だけ進んだ点(0,1,0)は、(1/2\sqrt{2}, 1/2\sqrt{2})に移される。
三平方の定理を使えば、\sqrt{(1/2\sqrt{2})^2+(1/2\sqrt{2})^2}=1/2となることから半分の長さになっていることが確かめられる。
- (0, 1, 0) \rightarrow (1/2\sqrt{2}, 1/2\sqrt{2})